6月23日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は高野公彦さん、永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さんです。☆は共選作です。
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高野公彦選
戦争は始めるよりは止(や)めるのが難しいのだプーチン、ネタニヤフ(船橋市)佐々木美彌子
戦争をはじめる人は戦地へは行かない 死なない だからやめない(萩市)石飛加名子
☆ラファを去る姉妹は口を一文字に結んでペットの鳥を逃がしぬ(横浜市)竹中庸之助
一番の願いは失業することと没後七〇年のキャパは言いしよ(東京都)新井よね子
元親も龍馬、慎太郎も飲みし水 高知流れる鏡川の水(豊田市)近藤 敬二
なに食べる? なっとごはんと即答するドイツ生まれの青い目の5歳(横浜市)梶 文彦
四人の子六人の孫在るけれどあなたの居ない四十二年(印西市)山本美和子
☆満洲を青酸カリ持ちて生き延びし叔母百二歳にてみまかりたまう(須賀川市)渡辺久美子
AIでカラー化されし亡き母の写真の空のつつましき青(神戸市)松本 淳一
AIが誤判断した採点をホモ・サピエンスの眼と手で正す(ふじみ野市)片野里名子
【評】一首目~四首目、戦争を種々の視点でとらえた歌。戦場写真を撮り続けたロバート・キャパは、自分の一番の願いは失業することだ、と言った。五首目、高知を訪れ、鏡川を見つつ長宗我部元親(もとちか)、坂本龍馬、中岡慎太郎の生涯を思う。
永田和宏選
カメラには裏蓋あって一分で…