6月16日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、馬場あき子さんです。
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佐佐木幸綱選
「歌壇」への投稿三十余年経つ教え子の死が切っ掛けなりき(舞鶴市)吉富 憲治
大太鼓バチ叩く腕盛り上がり肩甲骨の動き美し(横浜市)徳元てつお
新任の教師よやめずにいてくれと見守る初夏の研究授業(西条市)村上 敏之
ごみ置き場掃除する人会釈して行く人監督しているカラス(松山市)三浦 三葉
ツバメ飛ぶ中庭に立つ生徒らは卒アル写真のポーズ決めおり(春日井市)神谷 伸行
立ったまま眠るペンギン水槽を洗うスタッフ午後五時静か(岡山県)小林 和恵
辞めますと言えずに悩んだ日々がありあればよかった退職代行(三鷹市)大谷トミ子
リモートの健康体操飼い猫がたまに横切り先生笑う(東京都)伊東 澄子
校長室に一人でいるのが寂しくて事務室にいる女性校長(オランダ)宮沢 洋子
嫁ぐ娘(こ)の「寂しいやろ」と繰り返す母娘最後の苺のタルト(大垣市)立川 昌子
【評】第一首、古くからの常連投稿者である作者の貴重な回想の一首。第二首、クローズアップの手法で肩甲骨の動きに焦点をしぼり、特色ある作にしあげた。第三首、若い教員で途中退職者が多いと聞く。願いの切実さが読者に伝わる。
高野公彦選
あまづたふ太陽フレア生(あ…