朝日歌壇選者の(左から)永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん=東京都中央区、小林一茂撮影

 12月22日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さんです。☆は共選作です。

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永田和宏選

 一日をかけて書いてるかも知れぬ三分で読む天声人語(東金市)山本 寒苦

 ドナルドは狡(ずる)くて短気で自己中でそれでも憎めぬ アヒルのことだよ(堺市)芝田 義勝

 来月の詩はもう読めない「さようなら」最後の「言葉」は「感謝」であった(広島県府中市)内海 恒子

 最終の船の着くのは夜の九時岬まわる灯背伸びして見る(江田島市)和田 紀元

 寂しくて怒る人あり悲しくて笑う人あり心ならずも(東久留米市)白井 澄江

 記憶とは臭いでありし半田鏝(はんだごて)眼鏡の蔓(つる)接ぐペースト塗って(大和郡山市)四方  護

 パンを乞うガザの人びとの塊のなかの二人の少女の圧死(観音寺市)篠原 俊則

 桑の実をドドメとよびて口のなか紫に染め食べたり戦後(松戸市)猪野 富子

 冬晴に介護が悔悟にならぬよう深呼吸して布団干すなり(川越市)吉川 清子

 なんだっけなにかに悩んでいたけれどなにに悩んでいたか忘れた(東京都)中村 容子

 【評】山本さん、短いコラムほど書くのは大変。一日どころではないだろう。数秒で読める歌だって作るのは大変な筈(はず)。そう思いつつ選歌してます。芝田さん、前トランプ政権の折、アメリカではトランプ顔のドナルドダックの土産を売っていた。

馬場あき子選

 初雪の日は幼い頃思い出すぬ…

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