1月26日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さんです。☆は共選作です。
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永田和宏選
子どもらが小さな手もて入れくれし募金を汚す八億の寄付(観音寺市)篠原 俊則
せめてせめて別れの言葉を聞きたいねわたしはどんな悪妻だったか(敦賀市)大谷 静子
「私はなぜここにいるのか」極寒のロシアの地を這う北朝鮮兵士(横浜市)森 秀人
珈琲の回数券を壁に刺す喫茶店あり京の裏道(東京都)斑山 羊
苦虫を嚙みつぶしたる顔をしてダチョウはなぜかいつも「おばちゃん」(茨木市)大原みやこ
円滑に進んでいるということは誰か犠牲になっているのだ(横浜市)菅谷 彩香
君だけの俺でゐるよと良くもまあ言ひしあの時蠟梅(ろうばい)の花(香取市)嶋田 武夫
冬の川両の手を真っ赤にして楮(こうぞ)剝(は)ぐ母風船爆弾とは知らず(豊田市)近藤 敬二
和蠟燭(わろうそく)復活させて移住者の櫨(はぜ)の紅葉の里山暮らし(小城市)福地 由親
賽銭に一円五円使うよりスマホ決済望む神様(江別市)増田 辰良
【評】篠原さん、裏金のけじめとして自民党が中央共同募金会に寄付した八億。慎(つつ)ましい小遣いを差し出した子供らの善意を汚すものだと。同感! 大谷さん、最期には私への言葉を聞きたい、どんな悪妻だったかばらしてもいいから、聞きたい。
馬場あき子選
☆注文の一膳だけを持って来て…