写真・図版
テレビ中継されたアポロ11号の月面着陸の様子。バズ・オルドリン飛行士(右)は敬礼している(C)NASA

 「アルテミス計画」で、日本は米国から2人の月面着陸の機会を与えられることになった。米国人以外で初でもある。多くの国が関わる計画で、なぜ日本が選ばれたのか。交渉の背景やその意義について、東京大の鈴木一人教授(国際政治経済学)に読み解いてもらった。

 ――なぜ米国は、「米国人以外初」に日本人を選んだのだと思いますか?

 第1に、ロビー活動を熱心に頑張ったことがあげられる。内閣府が「首相直轄」の案件として交渉に当たったことで格が上がり、交渉を有利に進められたのだろう。

 人類が月面に足を踏み入れてから約半世紀。再び月面着陸をめざす米国主導の「アルテミス計画」で、日本人宇宙飛行士2人が月面に降り立つことが今年4月、日米両政府で合意されました。宇宙飛行士や識者らが展望や課題を語るインタビューをお届けします。

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 第2に、米国と覇権争いを繰り広げる中国の存在だ。

 中国は2030年までに独自…

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