最高裁判所の庁舎見学。入り口前までバスをつけることも可能=2024年12月5日午前、東京都千代田区、遠藤隆史撮影

 多くの人にとって縁遠い存在の「最高裁判所」(東京都千代田区)だが、最高裁の内部を見られる見学ツアーは、小学生を中心に年間1万人以上が訪れる人気スポットになっている。「一瞬で予約が埋まる」とも言われる庁舎見学では、どんな体験ができるのか。

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大法廷の傍聴席から見学、最後は記念撮影も

 「最高裁判所は少し特別な裁判所で、日本に1カ所しかありません」

 昨年12月5日午前。最高裁大法廷に立った最高裁広報課の職員が、傍聴席に座った子どもたちを前に最高裁の役割や裁判の仕組みを説明していた。

 見学に訪れたのは、東京都品川区立鈴ケ森小学校の6年生約100人。児童らが、職員の説明後に「なんで証言台がないんですか」などと質問すると、職員は「最高裁では、法律の解釈が正しいかなどを裁判官が判断します。被告人質問や証人尋問は行われないので、証言台がないんです」と答えていた。

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 見学ツアーの所要時間は1時間ほど。最高裁の正門を通って庁舎に入り、ロビーを抜けて大法廷の傍聴席へ。職員の説明を聞いた後、ロビーでトイレ休憩をとり、入り口前で記念撮影をして終了するのが通常の流れだという。

 庁舎見学の一番の魅力は、15人の最高裁裁判官がそろって審理をする場である大法廷を直接見られること。参加者のアンケートでも「大法廷の厳かな雰囲気に背筋が伸びた」などの感想が多い。

「予約とれてラッキー」「一番楽しかった」

 同校はこの日、東京・永田町の憲政記念館や国会議事堂をめぐった後に最高裁を訪れた。大竹絵理果教諭は「なかなか予約が取れないと聞いていたので、国会とあわせて訪問できたのはラッキーでした」。

 6年1組の千葉陽(ひなた)さん(12)は「裁判所の天井がすごく高くてこだわっていると思った。ここの見学が一番面白かった」と話した。

 2023年に最高裁を見学したのは、学校と一般を合わせて約1万6千人。昨年も11月までに、小学校156校など、小学生を中心に1万4千人以上が訪れた。

 最高裁の庁舎見学には、小学生や中学生などが中心の「学校見学」と、高校生以上の個人や団体を対象にした「一般見学」がある。いずれも参加費は無料だ。

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見学は無料、申し込み方法は

 学校見学は、火曜日と木曜日に1日4回開催。受け入れは各回につき1校で、裁判所のホームページにある申請フォームで、先着順に受け付ける。

 受け付け開始は原則、3カ月前の第1水曜日の午前9時から。小学校の社会科見学が増える秋などは、受け付け直後に予約の枠が埋まることもあるという。

 一般見学の実施は2カ月に1回程度で、電話で申し込みを受け付ける。個人や少人数のグループ、学校以外の団体が対象で、80人を上限に開催するという。

個人や少人数グループの受け付けも

 車いすを使った見学もできる。詳細は最高裁の庁舎見学のホームページへ。

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