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岐路のひまわり 司法制度改革再考

 暴風雪の朝だった。北海道中標津町にある梅本英広弁護士(54)の事務所に、女性が駆け込んできた。3人の子どもを連れている。夫の暴力に耐えかね、視界や路面状況の悪い中、車で数十キロを逃げてきたという。

  • ひっそり閉じた「ひまわり基金法律事務所」 避けられる過疎地の現実

 15年ほど前のことだ。警察はまだ、家庭内のもめごとに踏み込まない「民事不介入」の姿勢が強かった。

 「夫から捜索願を出されたら、連れ戻されてしまう」。そう考え、知り合いの町職員に支援を求めた。夫に先んじて警察に事情を説明し、女性や子どもたちを、一時的に避難するシェルターへ送り届けた。

ひまわりが表すのは「正義と自由」

 司法過疎や複雑化する人権課題などを解決するため、法曹人口の拡大を目指した司法制度改革から約20年。ひまわりのバッジをつけた弁護士の数は都市部を中心に増えたが、地方では「弁護士が足りない」との声があがる。人工知能(AI)の進化や、裁判手続きのデジタル化に伴い、弁護士の役割も問い直されている。岐路に立つ「ひまわり」の今を追う。

 北海道は、九州と四国の合計…

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