日本では「天国にいちばん近い島」として親しまれている南太平洋の仏領ニューカレドニアで5月、大規模な暴動が起きました。1カ月余りがたった今も、事態は正常には戻っておらず、先住民カナクとフランス系住民の格差や対立は残ったままです。暴動の背景や、ニューカレドニアのような小さな国が抱える問題について、太平洋島嶼(とうしょ)国情勢に詳しい同志社大学法学研究科の早川理恵子博士に聞きました。
- 仏領ニューカレドニアで暴動 投票権めぐる憲法改正に先住民らが反発
――ニューカレドニアの現状は?
外出自粛要請が緩和され、国際空港も再開したものの、状況が改善されたとは言えません。現地の人々のSNSなどを見ると「お店でパンが買えない」「学校が再開しない」「病院が閉鎖に追い込まれた」――などと生活インフラが停止したままです。フランスに帰りたがる仏系住民が増え、カナクら独立派も内部に多くの問題を抱えています。正常化には、膨大な時間と費用がかかるでしょう。
コロナ禍で実施された住民投票
――背景は何だったのでしょう。
きっかけの一つは仏系住民と…