自身が開発した暑さ指数計の様子を見る、埼玉県環境科学国際センター研究員の大和広明さん=2024年6月5日、埼玉県加須市、中村瞬撮影

 今夏も平年以上の暑さが予想されるなか、埼玉県が熱中症の危険度を示す「暑さ指数」(WBGT)を独自で測る取り組みを続けている。国の測定地点より多くの場所で細かなデータを示すことで、熱中症対策に役立ててもらうのが狙い。測定地点を年々増やしている背景には、ある県職員の並々ならぬ努力があった。

 暑さ指数は、湿度・気温・輻射(ふくしゃ)熱(地面や建物などから出ている熱)の3指標から算出する。指数の値が高いほど熱中症のリスクが上がり、28~31が「厳重警戒」、31以上が「危険」と区分されている。33以上になると「警戒アラート」が、35以上で「特別警戒アラート」が出される仕組みだ。環境省が県内では8地点で測定しており、1時間おきにデータを更新している。

 県はこれとは別に、独自のシステムを使って測定している。2022年に県内の20地点で始め、現在は県内28地点まで増やした。月内にはさらに2地点増やす予定という。データの更新は10分おき。県気候変動適応センターのホームページ(https://saiplat.pref.saitama.lg.jp/archives/1277)から見ることができる。

 このシステムを作ったのは、県環境科学国際センター(同県加須市)で温暖化対策を担当する大和広明研究員(41)だ。

 専門は気候学で、博士号(理学)を取得している。小学生の頃、自宅で「ドラえもん」を見ていた時、台風による停電でテレビが消えてしまったことがきっかけで気象に興味を持った。

1基50万円の測定装置を3万円で手作り

 大学院時代から「海風が与え…

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