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ショッピングモール内にあるサイゼリヤの店。昼時には入店待ちの行列ができていた=2024年10月13日、北京市、鈴木友里子撮影
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 中国で景気の減速が止まらない。人々の財布のひもは固くなり、飲食業界では高級店が苦境にあえぐ一方、日本発の「サイゼリヤ」など低価格チェーンが人気を集める。経済の明るい見通しを強調する「光明論」を掲げていた共産党指導部は、「困難を正視」と認識を改めた。テコ入れを急ぐ姿には焦りがにじむ。

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 日本でも人気の台湾発祥の小籠包レストラン「鼎泰豊(ディンタイフォン)」。世界中に店舗を構える人気レストランだが、北京市や天津市、青島市など中国本土で14店舗を営んでいた「北京恒泰豊餐飲」(北京市)は8月、同社運営の全店舗を10月末までに順次閉店すると発表した。営業不振が原因とみられている。

 10月中旬の週末、北京市中心部にある商業施設内の店舗を訪ねると、「もうすぐ閉店なので、お別れにきた」という近くに住む50歳代の夫婦が食事を終えて出てきた。周辺は高価格帯の飲食店が多いエリアだが、最近はそうした店でも全体的に値下がりしているという。「直感的な感覚だが、コロナ以前は一家3人で食事をすると500元(1万円)程度支払っていたのが、今は300元程度」

 鼎泰豊には、海外店も含めこれまで何度も通ったが、「下の階には、味のレベルは変わらなくて、もっと安い店がある。最近はサービス料をとる店はほとんどないが、ここは今もとる」。

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