東京ドームの前で、入場を待つNewJeansのファンたち=2024年6月27日、東京都文京区、松谷創一郎さん撮影

 長年業界を見つめてきたアイドル評論家の中森明夫、芸能界の構造的な問題を指摘し続けてきたジャーナリストの松谷創一郎の両氏による2024年の芸能界振り返りの対談の後編。音楽の話から始まったが、話題はSNSや芸能と政治の関係にも及んで――。

 中森 最近、「面白いな」と思ったのは、コーチェラ(アメリカ最大の音楽フェス)に、海外で活動するためにジャニーズを辞めたNumber_iが出たことです。香港出身でK-POPグループGOT7のジャクソン・ワンとのコラボも、かっこよかった。昔のジャニーズだったら考えられないことだよね。K-POPとの融合の可能性も示唆した。24年のコーチュラには、YOASOBIや新しい学校のリーダーズも出ていて、日本の音楽にとっては、希望があると思った。

 松谷 ようやく、そういった動きが出てきたなと思いますね。K-POPを見ていると、アメリカで勝負するのは、当たり前の話。1回で終わりにせずに、持続していくことが大切です。日本のアーティストの海外挑戦は、60年代のザ・ピーナッツ以来、ピンクレディーとか小室哲哉さんとか……。の

 中森 松田聖子も挑戦したね。

 松谷 しかし、死屍(しし)累累だった。一方で、当時は日本国内のマーケットも豊かだったから、海外挑戦の機運が高まりづらかった。ただ、レコードやCDではなく、今はストリーミングの時代。曲を発表したら、そのまま海外でも聞けるわけで、海外展開、海外進出ってのは、むしろ当然の世界なんですよね。

  • 【対談前編】テレビと成長してきた芸能界 露呈した体質

 ――日本のエンタメ産業の持続性を考えると……。

 松谷 韓国のやり方を目指すしかない。海外のマーケットを取りに行かなかったこと自体が、おかしいと僕は思う。確かに15年ほど前にK-POPが、フランスやアメリカに進出したときは、「通用するんだろうか」と思ったんですよ。レベルや趣味の違いもあるし、アジア系の顔を欧米の人が喜ぶのかどうか、というのもあった。

 だけど、韓国は地道にやり続け、20年にはBTSがビルボードでトップを取った。そこで「日本人も、いけるんじゃないか」となった。それに日本の国内マーケットも頭打ちで、ここ数年、海外に出て行くしかない、ともなりました。

アイドルから見えてくる日韓の違いとは

 中森 松谷さんの言っている…

共有
Exit mobile version