一人芝居の第一線を走り続けて半世紀。イッセー尾形さん(72)がこの夏、「イッセー尾形の右往沙翁(うおうさおう)劇場in札幌」と題し、12年ぶりとなる札幌公演に臨む。多彩な語り口や衣装、少しの小道具で市井の様々な人物を演じ分け、人が持つ弱さや優しさ、欲や哀(かな)しみを笑いに包んできた。「よりすぐりのネタを見てもらいたい」と張り切るイッセー尾形さんに、舞台への思いなどを聞いた。
試行錯誤のネタ作り
――演劇の世界に足を踏み入れてから50年以上になります。これまで一人芝居で演じた人物はどれほどの数になるのでしょうか。
700~800人にはなると思います。ネタをつくる時はまず、思いついた人物やセリフをノートに書く。次の日、読み返すと、「食い足りない」と思うんですね。踏み込みが足りない。それで書き直す。その繰り返しですね。
そして、机の上で「これだ、できた」と思って舞台でやってみると、また食い足りないなと思う。お客さんにもうひとつ届いてないことが分かっちゃう。それで、つくり直す。この方法は何年やっても同じです。
――演じてみたいと思うのは、どんな人物なのでしょう。
何か問題を抱えていたり、自…