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春日大社蔵の馬長児装束(中央)と、従者がかぶる龍蓋(りゅうがさ)=2024年12月6日、奈良市登大路町、今井邦彦撮影
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 平安時代後期から約900年続いてきた春日大社の摂社、若宮神社の祭礼を紹介する特別陳列「春日若宮おん祭(まつり)の信仰と美術」が、奈良国立博物館(奈良市登大路町)で開催中だ。神宝やその復元模造品など、国宝5件、重要文化財5件を含む43件が出陳されている。

 昨年までは「おん祭と春日信仰の美術」として、毎年特集テーマを変えて開催。構想された特集をすべて終えたことから、より総合的な内容にリニューアルし、タイトルも改称した。

 若宮の歴史を紹介するコーナーには、常陸国(現在の茨城県)から春日大社の祭神が鹿の背に乗って奈良にやって来たという縁起を描いた絵画などが並ぶ。「神鹿鞍(しんろくのくら)」として祭事に使われる鞍も展示されている。

 国宝に指定されている若宮の古神宝からは、木の枝に止まる鶴をかたどった「金鶴及(および)銀樹枝」を、復元模造品と共に出陳。飾り太刀や矢を入れる「胡籙(やなぐい)」も、螺鈿(らでん)の装飾が美しい復元模造品で見ることができる。

 展示室の中央には、神楽を舞う御巫(みかんこ)(巫女(みこ))や、馬に乗って行列に参加する馬長児(ばちょうのちご)の、実際に祭礼で使われた壮麗な装束が並ぶ。展示を担当した吉澤悟・学芸部長は「実際の祭礼では、一瞬しか見られない装束や道具を、近くでじっくり見ていただければ」と話す。

 特別陳列は1月13日まで(午前9時半~午後5時)。祝日を除く毎週月曜日と12月28日~1月1日は休館。観覧料一般700円、大学生350円、高校生以下・18歳未満と70歳以上は無料。おん祭のお渡り式(時代行列)がある17日は入館無料で午後7時まで開館。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)。

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