試合後、ベンチ前に整列して相手校の校歌を聴く大熊朝陽主将(左から4人目)ら根室の選手たち=ウインドヒル
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(29日、第106回全国高校野球選手権北北海道大会釧根地区Bブロック代表決定戦 根室1-11別海)

 今年の春分の日。根室の選手たちは練習時間、選抜高校野球の中継に気をとられていた。21世紀枠で出場した別海の試合だった。

 大熊朝陽主将(3年)は同世代が生き生きとするプレーをうらやむ反面、「あの別海さんでも厳しい。甲子園のレベルは本当に高い」と実感していた。

 両校は比較的距離が近く、頻繁に合同練習や練習試合を組んできた。抽選で同じブロックになり、近隣校が大きな壁として立ちはだかった。

 試合は一回、失策が重なり3失点。先発の大熊主将、2番手の斉藤瑞稀選手(3年)も別海打線につかまり失点を重ねた。

 「それでも試合中に少しでも成長できていた」(金田唯人監督)。5月の練習試合では二塁すら踏めなかったが、この試合は二回と三回に得点圏に走者を進めた。8点差の五回は、満塁から犠飛で1点を返した。その裏は初めて得点を許さなかった。

 根室は2年前、大熊主将らの代が8人入部し、6年ぶりに単独チームで出られるようになった。今夏は初戦を大差で勝ち、入部した夏以来の1勝を挙げた。

 秋からは2年生4人。他の部から応援を募って単独出場を続けたいという。大熊主将は「相当に厳しい道だと思うが、みんなで目標としてきた全道・北大会出場に近づいてほしい」と託した。(古源盛一)

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