旧石器時代の暮らしを探る特別展が9月10日、東京都三鷹市の国際基督教大学湯浅八郎記念館で始まった。市内を流れる野川流域には、日本有数の密度で旧石器時代の遺跡が発見されている。最新の研究成果を目にすることができるAI(人工知能)による復元図や、地層を剝ぎ取った標本など、様々な展示物がある。

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 「野川中流域の旧石器時代―ホモサピエンス 氷期の暮らし―」と題した展示会で、9日に内覧会が開かれた。

定住せず狩り 流域に豊富な動物 盛んに狩猟 

 野川流域は水環境が良く多くの動物が生息し、狩猟も盛んに行われていた場所だったという。旧石器時代の遺跡からは、黒曜石やめのうなど、近くでは採れない石材も出土しており、遠く離れた産地から運んで、石器を作って使っていたとされる。定住はせず、狩りをしながら広い範囲で移動して生活していたと考えられている。

 企画は、国際基督教大学と市の包括連携協定に基づく「三鷹まるごと博物館」の取り組みの一環。

 展覧会は11月14日まで。午後1~5時で入場無料。休館日は原則金曜~月曜と、祝日。

「3万年にわたって、繰り返し祖先が訪れてきた跡」

 市生涯学習課の学芸員下原裕司さんは「私たちの祖先は、野川流域が好きだったようだ。3万年にわたり、繰り返しここを訪れ遺跡を残している」と語る。

 21日午後1時半からは、トロイヤー記念アーツ・サイエンス館で「野川中流域の旧石器時代 人と文化」というタイトルで講演会も開かれる。予約不要で入場無料。定員300人(先着順)。問い合わせは、市生涯学習課(0422・29・9862)へ。(平山亜理)

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