日韓両政府は1日にシンガポールで行われた防衛相会談で、2018年以来懸案のレーダー照射問題をめぐる再発防止策で合意した。背景には、インド太平洋地域で中国や北朝鮮の脅威が増す中、問題に区切りをつけ防衛協力を進めたいとの思惑がある。ただし、双方の真っ向から食い違う事実認定を「棚上げ」したことで、一部で反発が出る可能性もある。

 「火器管制レーダー照射事案の再発防止は図られた。本日の結果を踏まえ、日韓防衛協力交流を活発化させていく」。会談後、木原稔防衛相は記者団にこう強調した。

日韓防衛相会談の冒頭握手する木原稔防衛相(左)と韓国の申源湜国防相=2024年6月1日、シンガポールのシャングリラホテル、防衛省提供

 レーダー照射問題が起きたのは、韓国の文在寅(ムンジェイン)政権のもと、18年10月の元徴用工訴訟の大法院(最高裁)判決で日韓関係が険悪化した矢先だった。韓国国防外交協会の権泰煥(クォンテファン)会長は「政治問題化したことで問題がより複雑になった」と振り返る。

 韓国では22年に尹錫悦(ユ…

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