日本銀行元審議委員の白井さゆり慶応大学教授=東京都千代田区、土居新平撮影

 日本銀行が2014年7~12月に開いた金融政策決定会合の議事録を公表した。当時の黒田東彦(はるひこ)総裁の下で「異次元」の金融緩和が始まって1年あまり。日銀は10月末、5対4という僅差(きんさ)での採決の末、追加の金融緩和に動いた。景気減速によって、2年程度で物価上昇率2%を実現させることへの懸念が出始めたためだ。採決のカギを握ったのは、審議委員だった白井さゆり慶応大学教授だ。当時の思いを聞いた。

  • 日銀幹部「追加緩和しなければ信頼崩れる」 10年前の議事録公表

 ――当時の経済状況は。

 「14年4月の消費増税の反動減が大きく、なかなか消費が戻ってこなかった。そこに原油価格の大幅な下落が重なり、物価の伸びが鈍ってきていた。予想インフレ率(人々が持つ物価の見通し)も下がっていた」

 ――10月末の決定会合で追加緩和に動き、白井さんは賛成しました。

 「私は、黒田総裁が打ち出し…

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