
日本銀行は29日、保有する国債を時価でみた評価損が9兆4337億円となり、3月末時点として過去最大になったと発表した。日銀が大規模な金融緩和策を変更して金利が上昇し、国債の市場価格が下がったためだ。日銀は政策運営には支障はないとするが、金融政策の正常化を進めれば、財務は悪化する見通しだ。
日銀が公表した2023年度決算によると、国債残高は前年比1.4%増の589兆6634億円で、2年連続で過去最大だった。これは3月末時点の簿価(取得時の価格)で、時価でみると580兆2297億円。差し引きが評価損となるが、前年の1571億円から大きく膨らんだ。
なぜなら、日銀が低く抑えてきた長期金利(10年物国債の利回り)の上限を昨年から引き上げ、今年3月には大規模緩和を転換。17年ぶりに利上げするとともに、長期金利を低く抑える政策をやめ、「長短金利操作」の枠組みを撤廃したからだ。
昨年3月末時点で0.3%台…