読売国際経済懇話会で講演した植田和男・日銀総裁=2024年5月8日、東京都千代田区

 日本銀行の植田和男総裁は8日の講演で、円安について「過去と比べると、物価に影響を及ぼしやすくなっている面は、意識しておく必要がある」と述べた。為替の変動を「経済・物価に影響を及ぼす重要な要因」だと指摘し、動向を注視していく考えを示した。

 植田氏は、賃上げや商品などの値上げに企業が積極的になってきていると分析。そこに円安の影響が加われば、想定以上に物価が上ぶれる可能性に言及した。「仮に物価見通しが上ぶれるリスクが大きくなった場合には、金利を早めに調整していくことが適当になる」と、追加利上げに前向きな姿勢を示した。

 日銀が掲げる物価上昇率2%の目標については、「見通しに沿って(可能性が)高まっていけば、緩和度合いを調整していくことになる」と語った。

 植田氏は、4月26日の金融…

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