市況

 週明け28日午前の東京株式市場で日経平均株価は一時、前週末の終値より700円超上昇し、3万8600円台をつけた。取引開始直後には150円超下落する場面もあり、荒い値動きとなっている。午前の終値は同549円58銭(1.45%)高い3万8463円50銭。

 前日の衆院選の投開票で、自民党と公明党の与党が215議席となり、過半数(233議席)を下回った。今後の政局への不透明感が強まり、日経平均は前週末より155円97銭下げて取引が始まった。だが、その後は買い注文が優勢となり、上昇に転じた。外国為替市場で円相場は円を売ってドルを買う動きが進み、一時1ドル=153円台まで円安に振れた影響があるとみられる。

 三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は株価の上昇理由について、「先週、与党が過半数割れとの報道が相次ぎ、日経平均は1000円程度下落した。市場ではある程度、与党の敗北が織り込まれていた」とみる。そのうえで、「夏の参院選に向けた危機感が与党に強まり、大型の経済対策が実施されるとの期待があるのではないか」とみる。

 与党は過半数割れを受け、国民民主党などの野党との連携を模索する可能性がある。市場関係者からは先行きの株価について「連携が難航して政治停滞が意識されれば、株価の上値は抑えられる」との見方がある。

 日本銀行の金融政策への影響については「政治が不安定ななかでは、日銀の追加利上げは遅れるのではないか」との意見がある一方、「少数与党であれば、野放しになり、日銀は必要に応じて利上げを続けるのではないか」との指摘もあった。(神山純一)

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