中国メーカーのEVの車内。大型ディスプレーが定番になっている=2024年3月25日、バンコク近郊のノンタブリー、稲垣千駿撮影

 工場に置かれた複数のモニター。色分けされたグラフが映し出され、工場の稼働状況がひと目で分かる。

 自動車部品製造、旭鉄工が作り上げたシステム「iXacs(アイザックス)」だ。ムダを可視化して「カイゼン」を進め、収益を10億円改善し、電力消費量は4割の削減につなげた。自社のカイゼンだけでなく、他社に販売して新しい事業の柱に育てることも狙う。

 創業から80年を超える。トヨタ自動車の1次取引先として、売上高の99%を自動車部品が占める。部品以外の事業作りを急ぐのには、木村哲也社長の危機感がある。「まずは5年生き延びないといけない」

旭鉄工の工場内に置かれたモニター=2024年12月16日、愛知県碧南市、稲垣千駿撮影

 日本の自動車産業を支える企業の危機感。それは、国内市場の縮小に加え、この業界が「100年に1度の大変革期」にあるからだ。エンジンが主流の車には電動化の波が押し寄せる。自動車作りに必要な3万点といわれる部品数も大きく減る。それだけではない。通信でつながる技術、自動運転、シェアリングといった技術革新も求められている。

 「変革」はどのように生まれるのか。2024年11月、ヒントを探ろうとある人物を訪ねた。

イーロン・マスクを知る元パナ幹部が見たものは

 山田喜彦氏。パナソニックで…

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