【動画】日米安保の重要拠点に迫る中国資本、疑惑を追う

 鹿児島の南から台湾にわたって弧を描くように連なる南西諸島。そのうちの一つの無人島をめぐって、日本の安全保障を揺るがしかねない動きが今から数年前にあった。

 無人島の名前は馬毛島(まげしま)。

 日米の防衛の要所とされるこの島に、中国側の影が迫っていた。

 「先生、いま上海に来ています」

 環境相の原田義昭(当時)がそんな電話を受けたのは、2019年の夏の終わりごろだった。

 高揚した声の主は、東京の建設会社「立石建設」の代表取締役・立石勲(当時、21年に88歳で死去)。立石は1995年、馬毛島の開発会社の経営権を大手銀行から買い取り、立石建設の子会社にしていた。

自衛隊基地整備が進む馬毛島=2024年8月12日午後4時6分、鹿児島県西之表市島、朝日新聞社ヘリから、小宮路勝撮影

 子会社「タストン・エアポート」(東京都)は馬毛島の土地の99%を所有し、砂利採取や採石の事業をしつつ、米軍基地誘致を掲げて滑走路建設をめざしたこともあった。

 日本政府がこの島に、自衛隊基地をつくり、米軍機の訓練にも使う計画を明らかにしたのは2010年代前半のことだった。

 しかし、土地の買収交渉が難航した。

 交渉の成否のキーマンが立石だった。

 そんな人物が、中国の企業に招かれて上海にいるらしい――。

 原田は嫌な予感がしたという…

共有
Exit mobile version