企業間の合意を破ったヤマト運輸に120億円の損害賠償を求める訴訟を起こした日本郵便が、薄型荷物の配達受託をやめる準備を進めている。訴訟では協業の決裂による損失がいかに大きいかを強調するが、社内では異なる顔も見せる。すでに年300億円超の増収を果たせたとし、ヤマトの迷走に乗じて営業攻勢を仕掛ける方針だ。

 「今回のヤマトの対応は、当社にとっては荷物分野を大きく成長させる絶好の機会だ」

 日本郵便の社員にあてた12月23日付の文書に、そんな言葉が躍る。差出人は同社の千田哲也社長だ。

日本郵便が社員向けに今後の対応を知らせる内部資料

 文書によると、ヤマトが集荷して日本郵便が配達する「クロネコゆうパケット」の協業は事実上、近く中断する。早ければ来月にもヤマトが自前の配達を再開する見通し。中断は東京以外の地域が対象で、まだ受託していないフリマアプリなどは計画を凍結。配達の中断などにともない、荷物の追跡システムや顧客の問い合わせ対応も仕様を変える。

 薄型荷物の配達を請け負う約束がほごにされたのに、なぜ「好機」なのか。

表向きは「協業」だったのに

 千田氏の文書は、こう続く。

 「これまで協業の本旨を踏ま…

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