母語スピーチ大会で発表するソイラ=2024年1月27日、大阪市淀川区の東淀川高校
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 大阪府立大阪わかば高校2年のエスピノサ・カサンドラ・ソイラ(16)は、自分の母語を「ビサヤ語」だと言う。フィリピンの中南部で使われる現地語だ。

 大阪で、フィリピン人の母と日系ペルー人の父との間に生まれた。家の共通語は日本語だった。小学校では、外見の違いでいじめられることもあったという。

 小学3年でフィリピンに移り、祖母の家で暮らした。現地のビサヤ語が話せず、英語で何とか会話した。学校では主要言語のタガログ語も学ぶ。現地語が上達するに連れ日本語は忘れていった。

 中学2年の時、母の呼び寄せで再来日した。中学で学びつつ地域の日本語教室に通い、わかば高を受験。合格発表の日は校内を歩きながら泣いた。「誰も泣いてなかったから恥ずかしかったけど、ずっと不安だったから、うれしくて」

 「話し好き」だと言うソイラ。高校ではフィリピンルーツの同級生らと仲良くなり、よく日本語とタガログ語を教えてもらう。ネパール出身の子に頼まれて、得意の英語を教えることもある。

 授業では、同級生の発表に人一倍大きなリアクションをする姿が目立っていた。

「話し好き」がスピーチ終盤に止まった8秒

 昨年11月、いくのパーク(大阪市生野区)であった地域の子ども向けイベントに、学校からみんなで参加した際には、率先して幼児の手を引いて遊んであげていた。

 多言語での絵本の読み聞かせでも、フィリピンルーツの同級生2人と、演技付きのタガログ語朗読を披露し、集まった親子の笑いを誘った。

 今年1月27日、外国にルー…

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