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奈良盆地東南部につくられた箸墓古墳(奈良県桜井市)は、古墳時代の始まりを告げる大型の前方後円墳です。全長約280メートルに及び、遠くから見ると小高い丘のようです。その箸墓古墳の近くに住む住民のみなさんが、地域の歴史について学ぶ「わが里の歴史教室」を始めています。大淀町教育委員会学芸員の松田度さんに紹介していただきます。
古墳時代の幕開けつげる墳丘
三輪山西麓の奈良県桜井市箸中(はしなか)は、纒向川の川岸にひろがる、典型的な農村です。
箸中といえば、「日本最古級の古墳」がよく知られています。全長約80メートルのホケノ山古墳からは、「木槨(もっかく)」と呼ばれる埋葬施設から、3世紀中ごろに制作されたとみられる中国製の画文帯神獣鏡が見つかっています。また同じ墳丘内に、その木槨をさけて6世紀末ごろの横穴式石室も造られています。古墳は国の史跡として整備され、地元住民が管理しています。
そのホケノ山古墳と同じ時期か、やや遅れて造られたのが、全長約280メートルの箸中山古墳(箸墓)。墳丘は当時としては破格の大きさで、本格的な古墳時代の幕開けをつげるメルクマール(指標)とされています。ただし、現在は皇族の墓(陵墓)として宮内庁の管理下にあり、立ち入りも禁じられています。
まだまだ謎多き古墳ですが…