銚子電鉄の海鹿島駅にオープンした「日本一ちっちゃな美術館」では、海鹿島ゆかりの竹久夢二の絵や写真などを展示している=2024年6月16日午後0時40分、千葉県銚子市小畑新町、根岸敦生撮影

 銚子電鉄の海鹿島(あしかじま)駅(千葉県銚子市小畑新町)に、大正ロマンを代表する画家で詩人の竹久夢二(1884~1934)らゆかりの明治大正期の文人を紹介する広さ約10平方メートルの「日本一ちっちゃな美術館」が16日、オープンした。近くの海鹿島海岸は、夢二の代表作「宵待草(よいまちぐさ)」のゆかりの地だ。

 関東最東端の同駅の事務室跡を改装し、窓には今年3月に運行を終了した「大正ロマン電車」の窓の模様を再現。美術館内には、「宵待草」の楽譜表紙絵(レプリカ、岡山県の夢二郷土美術館蔵)や、地元の飯沼山円福寺が所蔵する作品の複製などを展示した。

 同市などによると、夢二は1910年夏、海鹿島の宮下旅館に滞在し、旅館隣家の女性に恋心を寄せ、一緒に散策したと伝わる。翌年も海鹿島を訪れたものの、すでに女性は嫁いでおり、宵に咲き一夜で花を終える宵待草に自身のひと夏の恋を重ねて「宵待草」の詩を創作したと伝わる。

 海鹿島駅周辺には、銚子出身の国木田独歩や、滞在した政治家の尾崎咢堂(がくどう)(行雄)のほか、夢二の碑もある。

 銚子電鉄の開業100周年記念事業の一環としてオープンした美術館について、同社の竹本勝紀社長は今月16日のオープニングセレモニーで「地域のランドマークになり、海鹿島を訪れた人々の交流スペースとして愛されてほしい」とあいさつした。

 駅構内では「宵待草」を見ることができる。

 銚子電鉄では来週いっぱいまで「日本一ちっちゃな美術館」のヘッドマークを付けた電車を運行する予定だ。

 美術館の開館は、土、日曜と祝日の午前9時~午後5時。入館料は無料。(根岸敦生)

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