宇宙航空研究開発機構(JAXA)がサイバー攻撃を受け、内部情報が流出しました。なぜJAXAが狙われたのでしょうか。日本のサイバーセキュリティー対策をめぐる問題について、安全保障や宇宙政策に詳しい東京大の鈴木一人教授(国際政治経済学)に聞きました。

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 ――なぜJAXAが狙われたのでしょう?

 当然と言えば当然です。JAXAは宇宙だけでなく、防衛省とともに防衛関連の技術も扱っています。技術そのものを盗めなかったとしても、日本が今どういうことをどの程度進めているかや、どんな技術を使っているかを知るだけでも価値があるからです。

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鈴木一人・東京大教授=2024年4月19日、東京都港区、佐々木凌撮影

 「日本の技術はこの程度」と分かれば、このくらいの攻撃や威嚇をすれば日本は耐えられないということが分かります。手の内をさらすことは、相手からの攻撃を誘発する結果になってしまいます。

 ――JAXAは、被害にあったシステムでロケットや人工衛星の運用など「機微な情報」は扱っていない、と説明しています。

 「機微な情報」とは何かの定義にもよりますが、それが外部に流れなかったから大丈夫だと結論付けるのは無理があると思います。

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 相手がどんな情報を求めているのかが分からないというのが、サイバー対策の難しいところ。直接的な技術の情報が流れていなかったとしても、その周辺情報だけでも相手にとって十分価値があるかもしれません。

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