8月8日に宮崎県沖の日向灘で発生した地震は、南海トラフ巨大地震に影響するのかしないのか――。この1週間、多くの人が知りたかったに違いない。だが、日向灘の地震が、それより東で起きる南海トラフ巨大地震とどうかかわるのかは、今もよくわかっていない。

政府の地震調査委員会で南海トラフ地震臨時情報について「南海トラフ地震の想定震源域では大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられている」と話す平田直委員長(左から2人目)=9日午後、東京都千代田区

 伊豆半島の西から、九州にかけて続く海底のくぼみが南海トラフだ。フィリピン海プレートが陸のプレートに沈みこむ境界で、おおよそ100~200年に1回、マグニチュード(M)8級の巨大地震を繰り返してきた。

 1944年の東南海地震、46年の南海地震から約80年。エネルギーをためて次の巨大地震を発生させるまでには、まだ少し時間がありそうだ。しかも南海トラフ巨大地震と日向灘のM7級地震が同時に発生した記録はない。

 M7級の地震後に巨大地震が続発する確率はきわめて低い。「この認識は、東日本大震災前も今も変わらない」と名古屋大の鷺谷威教授は指摘する。

 2011年より前に今回と同…

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