新紙幣を手にした男性=2024年7月3日午前10時8分、さいたま市浦和区、内田光撮影
  • 写真・図版

 新しい紙幣が3日、お目見えした。最新技術が盛り込まれた新札を手にした人からは様々な感想が聞かれた。キャッシュレス化の促進など、新貨幣はさまざまな効果を生みそうだ。

 この日午前10時過ぎ。さいたま市の埼玉りそな銀行さいたま営業部では両替の受け付けが始まり、駆けつけた人たちが次々に旧紙幣を新紙幣に替えていった。

 1人目は午前7時半から並んでいたという同市の大学生の男性(22)。新しい1千円札、5千円札、1万円札計10枚を手にした。紙幣を傾けると肖像の顔の向きが変わる3Dホログラムに「立体感があって、とてもきれい。日本の技術は世界に誇れるものだと感じた」。

「歴史的瞬間」

 男性は祖父母の遺品整理がきっかけで貨幣に興味を持つようになり、明治時代からの紙幣や硬貨を集めてきた。新紙幣はコレクション用のファイルに早速入れる予定という。「歴史的な瞬間に立ち会えてうれしいです」

 会社員の長谷川英一さん(65)は、名前が同じ読みである渋沢栄一が1万円札の新たな顔となったことに縁を感じてやってきた。入手した新1万円札10枚は妻や親族に贈るつもりだという。「(1万円札では)長く福沢諭吉を見てきたので、まだ実感がないけれど、日本の経済が活性化するといいなと思う」と期待を込めた。(島崎周)

やめた現金のやりとり

 新紙幣に対応するため、飲食店の券売機などは更新や入れ替えの必要が生じた。「キャッシュレス」のメリットが大きいとして、新紙幣発行を機に現金の取り扱いをやめる店も出てきている。

 ラーメン店「銀座 篝(かがり)」など、飲食店を国内外で展開する「アデッソ」(本社・東京)は、都内を中心にキャッシュレス決済のみに。新紙幣に対応する券売機に更新せず、クレジットカードや各種電子マネー、QRコード決済のみに対応した機械にしたという。

世界トップクラスのセキュリティーレベルと言われてきた日本の紙幣。さらなる偽造防止対策にはどのような狙いが考えられるのでしょうか。

コストもリスクも減

 閉店後にスタッフが現金を集…

共有