JR東京駅の東海道新幹線ホームから新大阪に向け出発する「のぞみ」=2020年8月7日午前11時、東京駅、藤原伸雄撮影

 JR東海の予約サイトを悪用し、他人になりすまして新幹線のチケットを不正購入したとして、警視庁は、いずれも職業不詳で中国籍の劉虎(33)=埼玉県川口市=と、ベトナム国籍のブ・ティ・チン(28)=同=の両容疑者を私電磁的記録不正作出・同供用と窃盗の疑いで逮捕し、24日発表した。認否は明らかにしていない。

 犯罪収益対策課によると、逮捕容疑はそれぞれ何者かと共謀して7~8月、JR東海などが運営する予約サイト「エクスプレス予約」で、60~70代の2人の男性名義のクレジットカード情報を使い、チケット計56枚(販売価格約71万円)を盗んだというもの。劉容疑者が購入した東海道新幹線の東京―新大阪駅間の自由席18枚は、東京・新橋のチケットショップで転売されていたという。

 同課は容疑者の2人は窃盗グループの一員とみている。窃盗グループがフィッシングの手口で得た他人のクレジットカード情報などを使い、サイト内でチケットを購入して駅で発券し、チケットショップで転売していたとみられるという。(三井新、福冨旅史)

 JR各社の予約サイトを悪用し、新幹線のチケットを不正購入する事件は各地で相次いでいる。

 昨年6月、JR東日本の予約サイト「えきねっと」で約9万5千円分を不正購入したとして、男女4人が窃盗容疑などで警視庁に逮捕された。同11月にはJR西日本、九州の各社の予約サイトでも約1億4千万円分を不正購入したとして5人が大阪府警に窃盗容疑などで逮捕されている。

JR東海、8億円超の被害か

 警視庁によると、JR東海のまとめでは、同様の手口による被害総額は今年すでに8億7千万円に上るという。同社によると、いずれも運営するエクスプレス予約と「スマートEX」を合わせた会員登録者数は、計1478万人(9月末時点)を数えるという。

 なぜ新幹線のチケットが狙わ…

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