「何事もよろずよし」「恋に上下のへだてなし」「あとのたのしみ」――なんとも意味深な「言葉遊び」に笑みがこぼれる正月の菓子「辻占(つじうら)」づくりが、石川県小松市の「長池製菓」で最盛期を迎えている。
ほんのり甘く、花びらのような餅生地に「おみくじ」が包まれている。言葉を三つ並べて新年を占ったり、意味を想像したりして楽しむ華やかな伝統菓子だ。
社長の長池正さん(56)は10年前、大正時代から辻占を作っていた市内の菓子店が廃業すると知り、「伝統の菓子文化を絶やしてはいけない」との思いから、店主の浜原和子さん(89)に弟子入りし、辻占づくりを引き継いだという。
餅粉に砂糖と水を加え、三角の棒状にしたものを、1・5ミリほどの薄さに切り、小さく丸めた「おみくじ」の紙を包みこんでいく。作り方も、おみくじの言葉も大正時代のままを継承しているそうだ。おみくじの言葉は100種類ほどあるという。
職人の松野哲行さん(62)は「いい新年になるよう、お正月のだんらんに楽しんで食べてもらいたい」と話した。
11月初旬からはじまった辻占づくりはクリスマス前まで続くという。1袋12個入りで432円。土産物店や、石川・富山県内のスーパーに並ぶほか、インターネット(https://nagaikesaikadou.com)でも販売する。