和歌山県

 和歌山県は、2026年度に開校する県立夜間中学の基本計画案を発表した。同年度に新宮高校と統合する現在の新翔高校(新宮市)の施設に設置する方針。県は基本計画案について、県民に意見を求めるパブリックコメントを実施するほか、学校名を募集している。

 夜間中学は全国で開校が相次ぐ。国は、各都道府県と政令指定都市に最低1校は夜間中学を設置する方針を掲げる。今年4月時点で全国で53校になった。

 県内では、和歌山市が来年4月、市立和歌山高校に市立の夜間中学「和歌山あけぼの中学校」を開校する。

 県立の夜間中学の基本計画案では、1学年10人程度を想定し、入学は26年4月とする。生徒の状況に応じて学期途中からの入学も可能だ。学校教育法により3年が基本だが、本人の希望や就学状況などで原則最長9年まで在籍可能としている。

 対面の40分授業が基本で、月曜日から金曜日まで。午後5時半ごろに登校し、午後9時ごろ下校する。授業料や教科書代は無償。給食や制服はない。東牟婁地域からの通学を想定している。

 岸本周平知事は18日の定例会見で、市立夜間中学が和歌山市内に開校することをふまえ「紀南に夜間中学がないのはよくない。学校に行けなかった人、外国人やお年寄りら、多様性のある学校ができれば」と述べた。

 基本計画案は、県教育委員会のホームページや県庁本館2階の情報公開コーナーなどで閲覧できる。

 パブリックコメントは12月17日まで、学校名の募集は同9日まで実施している。必要事項を記入し、ファクス(073・424・8877)やメール(e5011001@pref.wakayama.Ig.jp)などで。

 また、県教委は授業の体験会や相談会を開いている。

 12月18日、新宮市下本町2丁目の市文化複合施設「丹鶴ホール」で理科▽来年1月31日、同市緑ケ丘2丁目の東牟婁振興局で社会の授業が体験できる。いずれも午後5時10分~午後7時20分。1週間前までに申し込みが必要。

 問い合わせは県教委義務教育課(073・441・3662)。(松永和彦)

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 市民団体「和歌山の夜間中学校をつくり育てる会」が23日、来年4月に和歌山市に公立夜間中学が開校することを見据え、市内で学習会を開く。公私立夜間中学の歴史がある奈良の事例に学ぶ。

 学習会では和歌山県内にある自主夜間中学の現状や公立夜間中学計画の報告のあと、奈良県夜間中学連絡協議会の山本直子代表が講演する。山本さんは1998年に西和自主夜間中学を立ち上げ、運営してきた経験をもとに「自主と公立の連携による学びの保障」と題して語る。

 和歌山では「つくり育てる会」のメンバーでもある吉本拓司さんが2000年から私設の夜間学校を開いている。同会事務局長の摂南大講師の江口怜さんは「夜間中学という学びの場を知ってもらうとともに、市民がつくっていく学校だというメッセージを伝えたい」と話す。

 学習会は23日午後2時半~4時、同市住吉町の和歌山信愛大学の1号館2階。無料。申し込みはウェブの申し込みフォーム=QRコード=かファクス(073・488・6260)。ファクスには名前、所属、電話番号、メールアドレスを書く。問い合わせは事務局(satoshi.eguchi@setsunan.ac.jp)。(榊原織和)

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