2022年度に自腹を切ったことがあるか。研究者らと事務職員の計3人が昨年、公立小中学校の教職員にこんな調査をしたところ、回答した約千人のうち、4人に3人以上(75.8%)が自腹の経験があった。回答者の半数以上が自腹の理由や思いを自由記述欄に書き込んでいた。現場の声を紹介する。

 「自腹について話そう『教師の自腹』著者が一緒に考えます!」。そう題したオンラインイベントが7日夜、開かれた。登壇したのは、自腹の調査を実施し、その結果をまとめた本「教師の自腹」を出版した千葉工業大の福嶋尚子准教授ら3人。申し込みは100人を超え、コメント欄には切実なコメントが次々と寄せられた。

 〈宿泊学習の際の下見や引率の費用が全額はまかなわれない〉〈学校の消耗品費には限度があるため他の先生方への遠慮があり、教材作製費、理科実験材料費、緑化費、宿題印刷費などこれまで約7万円自腹あり〉

 「あるあるですね」「わかります」。3人が一つひとつコメントしていった。

 イベントのもとになった「自腹調査」=メモ=でも、教育現場から多くの事例が寄せられた。

「授業の自腹」6割が経験

 3人が自腹を種類別に尋ねたところ、自腹を切ったという回答が最多だったのは「授業に関わる自腹」で58.8%だった。

 自由記述では、〈学校の必要予算が毎年のように削減され、コピーもモノクロで行うよう指示が出ている。子どもへの教育効果を考えるとカラーのものを渡したいが予算の上限を考えると自腹にならざるを得ない〉(小学校正規)、〈最低限のドリルは児童費で購入しているが、それ以外のドリルは各先生で個人持ち〉(同)といった声があがった。

 全体の37.1%の教職員が自腹を切っていたのが旅費だ。うち校区内の家庭や地域を巡るための費用が41.4%、行事や部活動などで遠方へ行く際の費用が27.9%と続く。〈校務分掌での図書館や部活動でのホールへの移動は私用車を利用するが、旅費は出ない〉(中学校非正規)という声も寄せられた。

部活の交通費「一切出ない」

 「部活動に関わる自腹」は、22.6%の教職員が経験していた。そのうち最も多いのが「交通費に関わるもの」(35.5%)。続いて「教職員自身が使う用品に関わるもの」が29.9%だった。具体的には、〈移動の車のガソリン代。交通費は一切出ない〉(中学校正規)、〈指導するのに必要なラケットやシューズは学校が負担してくれない〉(同)などだ。

 弁償・代償のための自腹は6.7%だが、そのうち一番多かったのは保護者からの徴収金の代償で36.2%。2番目が損壊・紛失してしまった物の買い替えや修繕・弁償(27.5%)でだった。

 〈家庭科の調理実習費の未納。集金に応じない家庭が多かったから、諦めた〉(小学校正規)

 〈給食がない日に弁当を持参することになっていたが、様々な事情で持参しなかった子どもに昼食を与えるため〉(小学校管理職層)

■「自腹規制すべきだ」6割弱…

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