教員採用試験の志願者数が全国的に低迷していることを受け、試験日を前倒しする教育委員会が相次いでいる。前倒しの効果は出ているのか。

  • 教員採用試験「前倒し」6割…でも効果は限定的「長時間労働抑制を」

 新潟県と新潟市は今年度実施の小学校教諭向けの1次試験について、従来の7月に加え、6月16日にも実施。どちらか一方を選んだり、両方を受けたりできるようにした。

 16日、新潟市の試験を市内の会場で受験した大学4年の女性(21)は、例年通りの日程で試験が行われることを想定して準備してきたといい、「1カ月早いのはやはり気持ち的に大きい」と負担感を口にした。ただ、従来の7月の試験も受験できることについては「今日は場慣れの意味もあります。受かればラッキーです」と話した。

「一定の効果はあった」「思い切って早めたものの…」

 「6月16日」は、文部科学省が昨年5月に前倒しを要請した際に示した1次試験の「標準日」。新潟市教委の担当者は「前倒しに合わせて受験機会を増やすことで、志願者数増につなげたいと考えた」。近年、全国的に減少傾向が続くなか、同市では小学校教諭の志願者数が197人と昨年度から4人増。市教委は「一定の効果はあった」とみる。

 九州の各教委はいずれも標準日に実施。昨年度の7月9日から前倒しした福岡市教委の担当者は「文科省や周辺自治体と協議して決めた。効果があったかどうかはこれから見極めたい」。

 関西地方では多くが標準日の前日の6月15日とした。兵庫県教委によると、もともと土曜日に実施しており、曜日を合わせたためだという。

 標準日より大きく早めたケースもある。

 全国で最も早い5月11、12日とした静岡県は、昨年度(7月1、2日)から2カ月近く早めた。合格発表は8月9日を予定している。県教委の担当者は狙いについて、「早く就職先を決めたいという学生に安心して教職を選んでほしかった」と話す。

 これまでは合格発表が民間の内定式後の10月にずれ込むこともあり、「早めに内定がほしいという学生には教職は敬遠されてきたのでは」。また合格発表から卒業までの期間を長くすることで、大学で学び残したことに取り組み、教壇に立つための準備をする余裕も作りたかったという。

 志願者数は2241人と昨年度から5人増えた。担当者は「当初はもっと増えるかなと思っていたが、全国的には大学3年生の時から試験を受けられる自治体も出てきている。試験の早期化はどんどん進むのではないか」と話した。

前倒し繰り返したが…志願者は減少 なぜ?

試験日程の前倒しは、就活中の学生にどう影響したのでしょうか。記事後半では、教員志望の学生の声を取り上げています。

 高知県は6月1日とし、前年…

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