教育研究家の妹尾昌俊さん=本人提供

 2023年度実施の公立学校教員採用試験で、小中高校の競争率が過去最低だったことが分かった。

 小中高がそろって最低になったのは初めて。なぜ倍率が下がるのか。どうすればいいのか。

 教育研究家で、中央教育審議会(中教審)の「質の高い教師の確保特別部会」臨時委員を務めた妹尾昌俊さんに聞いた。

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――なぜ、小中高とも競争率が低下したのでしょう。

 文部科学省は、ベテランの大量退職に伴う採用者数の増加と、既卒の受験者数の減少の二つを理由に挙げています。採用者増で倍率が低くなり、新卒時に不合格だった既卒の受験者の多くが合格するようになったことで、受験者数が減った――という図式です。

 確かにその影響もあるでしょう。しかし、既卒の受験者が、再挑戦してまで教員になりたいと思わなくなっている可能性もあります。教職に背を向ける傾向は既卒者にも広がっているはずです。

女性が教職を避けている

 もうひとつの理由は、女性の受験者の減少傾向です。文科省は近年、男女別の受験者数のデータを取っていませんが、名古屋大の内田良教授の大学生を対象にした調査では、男性より女性の方が、学年が上がるにつれて非・教員志望者の割合が増えている状況が浮き彫りになりました。

 かつて学校は女性にとって魅力的な職場でした。男女の賃金格差もなければ、1年目から子どもたちと接しながら、やりがいのある仕事ができたし、育児と両立できる人も多かったからです。

 ですが、ここ20年ほどで状況は相当変わりました。仕事量が多く、部活や補習などがあれば休日返上、時には保護者や校長や先輩から叱責(しっせき)される。そうした状況では、男性以上に女性が教員を避けるようになっているのです。注視しなければならない傾向です。

 ここまでは小中高に共通の要因を述べました。中高の場合は特に、部活動の地域移行もまだまだ進まず、敬遠の理由になっていると思います。また、民間企業等への就職とも競合しやすいのが中高です。

――文科省のこの調査結果はそ…

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