教員採用につなげようと、高知県教育委員会が11月に開いた「ペーパーティーチャー個別相談会」。教員免許を持ちながら教職に就いていない人を募り、最近の教育現場の様子や教員の給与などを県教委職員が説明した=2024年11月16日、高知市内、蜷川大介撮影

 教員のなり手不足は全国各地で深刻な課題となっている。高知県教育委員会が今秋、小学校教員の採用試験で280人に合格を通知したところ、約7割の204人が辞退した。現地ではいったい、何が起きているのか。

 高知県中部に住む3児の母(39)は10月末、ニュースで採用試験合格者の大量辞退を知った。「まずびっくり。先生はそんなに不人気なのかと悲しかった。先生の質を維持できるのかも心配になった」と話す。

 この女性は大学を出た2007年春、県内の小学校で臨時教員になった。

高知県では近年、小学校教員の採用試験で、合格者の6~7割に辞退される状況が続いてきました。記事後半では11月に著書「教員不足―誰が子どもを支えるのか」(岩波新書)を出版した佐久間亜紀・慶応大学教授に対策を聞きました。

県外に会場、試験の前倒しでも採用足りず

 当時の正規採用は県内で16人。臨時教員を続けて正規採用を目指す人もいたが門戸は狭い。全教科を教える仕事は大変で、2年ほどで別の道に進んだが、我が子の小学校ではとてもよい先生に出会ったし、保護者も和気あいあいとしている。「なぜこんなに辞退が多いのか」と思う。

 全国の教育委員会は、もう何…

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