輝ウインドアンサンブルの児童たちを指導する小平三中の部員たち=2024年11月22日、東京都小平市、オザワ部長撮影

 宇都宮市文化会館で10月、全日本吹奏楽コンクール中学生の部の表彰式があった。

 小平市立小平第三中学校(東京都)の吹奏楽部員たちは、後半の部の審査結果の発表を固唾(かたず)をのんで見守っていた。

 昨年まで3年連続で金賞を受けたコンクールの常連だが、これまで4年連続で金賞を受賞したことはない。

 部員たちが握りしめていたのは、端と端を堅く結びつけて1本になった白いハチマキ。コンクール前になると気合を入れるためにハチマキを巻いて練習し、表彰式ではそれを1本につなぐのが小平三中の伝統だ。今年のハチマキには「どんな試練でも努力して乗り越えれば、快い青空が望める」という意味の「雲外蒼天」が書かれていた。

 3年生は最近では最少の12人で1年生を含む全部員(45人)での挑戦。課題曲《メルヘン》(酒井格)、自由曲《リュミエール・エテルネル》(松下倫士)の演奏も必死だった。

 かつて吹奏楽部の顧問で、現在は部活指導員として部を指揮する沢矢康宏はステージ上でこう思っていた。

 「都大会も厳しかったし、出場順は(後半の部の)1番。さすがに4年連続の金賞は難しいか……」

 沢矢と、ホルン担当の大迫明香里部長(3年)とトランペット担当の石川幸歩(こゆみ)副部長(3年)が部の代表としてステージに立った。ふたりとも緊張で硬くなっていた。

小平三中の(右から)石川幸歩副部長、大迫明香里部長、浅古千結希副部長、沢矢康宏さん=2024年11月22日、東京都小平市、オザワ部長撮影

 ステージ中央へ歩いたとき、明香里の目にはこれから渡される賞状が透けて見えた。「金賞」だった。

 「発表前に結果がわかって、内心喜んでいました。大変なこともたくさんあったけど、報われた気分でした」

  • 【結果】全日本吹奏楽コンクール中学生の部 出場団体と結果

 明香里は賞状を、幸歩はトロフィーを受け取り、白いハチマキを手に歓声を上げている仲間たちを笑顔で見た。

 創部初の4年連続金賞。その快挙は意外な活動に支えられていた。

     ♪

「私たちにとっても成長できるすごくいい機会」

輝ウインドアンサンブルの児童たちと合同練習する小平三中の部員たち=2024年11月22日、東京都小平市、オザワ部長撮影

 輝ウインドアンサンブル。小…

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