アナザーノート 秋山訓子編集委員

 「政治とカネ」の問題で人々の政治不信は頂点に達している。そんななか、政治を日々の生活にひきつけて社会課題を解決し、生きやすい社会をつくろうとしている人たちがいる。

 廣田達宣さん(35)は、それをビジネスとして行う。テクノロジーを活用したスタートアップ、というところが今風であり、「政治を誰にも身近にする鍵」でもある。

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 彼の展開する「issues」というビジネスのクライアントは政治家だ。政治家が、住民が何に関心があるか知りたい時に、政策についてのネット広告を出す。簡単な設問形式にすることが多い。たとえば、「『小学校の欠席届をオンライン化してほしい』に賛成?反対?」。

 広告が掲示される地域は、原則としてその議員の地元選挙区。政治家は、地元の有権者が何に関心があるのか探ることができる。有権者にとっては、自分が不都合に感じている身の回りの課題が解決するかもしれない。

 ネット広告に反応する人、いるんだろうか。廣田さんの答えはこうだ。「います。当事者たちにとっては切実な問題ですから。政治に関心がなくても、欠席届に関心がある人には刺さる。問題によっては、広告が掲示された人たちの10%近くが回答する場合もあります。これはネットマーケティングのクリック率からするとものすごい高さです」

写真・図版
廣田達宣さん=東京都世田谷区

政治参加の難しさが解決

 設問に回答すると、回答者のコミュニティーができて、政治家とつながる。政治家はコミュニティーの人たちに、政策の経過報告をする。「役所の担当者と意見交換しました」「議会で質問しました」「小学校の運用が変わって欠席届のオンライン化が実現しました」

 回答者一人一人に政治家から…

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