ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のクリステン・スーラック准教授

 10年以上政権を担う与党に対し、国民が不満を募らせてきた――。今年7月に総選挙があった英国と、衆院選があったばかりの日本はその点で似ています。英国では政権交代が実現し、日本では自民党が大幅に議席を減らしました。では、両者の共通点、相違点はどこにあるのでしょうか。日本の政治や社会に詳しいロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のクリステン・スーラック准教授に聞きました。

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 ――今回の日本の選挙をどのように総括しますか。

 まず、自民党が大きく負けたことは明白でしょう。「自民党にはうんざりだ」というシグナルです。

 興味深いことに、その理由の一つは裏金問題でした。ただ、カネの問題は政治の世界において、特段目新しいことではありません。日本では1970年代に田中角栄元首相が逮捕されるロッキード事件がありました。なお、英国ではつい最近、スターマー首相や周辺が衣装代を工面してもらっていた献金問題が大きな議論を呼びました。

 今回日本で裏金問題が大きな争点になったのは、安倍晋三元首相がいなくなったからではないでしょうか。彼は首相を退いてからも、自民党内外からの圧力に対処できる、「影の将軍」のような存在だったと、私は考えています。

 ――それでもなお、自民党は第1党です。

 その通りです。その点では英…

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