廊下の共用スペースに並ぶモニターの前で、見つけたデータなどを共有しながら議論を進める6年生=2024年6月25日午前10時28分、千葉県印西市の市立原山小学校、宮坂麻子撮影

 GIGAスクール構想から4年目を迎え、授業時数を変えたり、新教科を創設したりして、1人1台の端末を活用した新たな学びを広げる小中学校が出てきている。

  • 小中学生1人1台の端末更新どう選ぶ? 授業での活用、広がる格差

 千葉県の印西市立原山小学校は各教科の授業時数を少しずつ削り、昨年度、総合的な学習の時間を105時間(標準授業時数70)に増やして、探究を行う「授業時数特例校」に。今年度はさらに、新教科「情報探究科」(105時間)を創設し、「教育課程特例校」になった。

 6月、5年生と6年生がそれぞれ廊下の共用スペースで情報探究科の授業をしていた。

 6年生が取り組むのは、海洋問題。クラス混合の各チームに分かれ、課題を見つけ、仮説を立て、解決策や自分たちにできることを考える。問題解決型の探究学習だ。

 この日は、海洋プラスチック、深海資源、魚のとりすぎなどチームごとのテーマで課題を調べる。

 水産庁のサイトで漁獲量のデータとグラフを見つけた児童は、「このグラフでは読み取りが難しくうまく伝わらない」と、注目したいデータだけ円グラフに作り直す。ネットで「円グラフ作成」と検索。端末に入っている表計算ソフトより簡単なものが見つかり、それを使うことにした。

 また、ある児童は、Canvaで「使える画像集」をみんなでアップできるベースを作った。

 担任の和田諭教諭は、みんなの間を回りながら、「海洋資源がなくなると、みんなの生活はどうなるの?」などと時々、質問を投げかける。「教師はあくまでファシリテーターで、考えが深まるよう、ただ発問するだけです」と話す。

 同校に1人1台の端末が配布されたのは2020年。当時校長だった松本博幸・同市教育DX専門官は「単に端末を活用すればいいのではなく、情報活用能力を身近な課題解決に生かすことが大切だと思った」と振り返る。4年が過ぎ、「子ども自身で情報の整理分析をし、多様なメディアを使って創造できるまでになった」。

 子どもたちに、「もし端末が…

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