授乳室にシールを貼るNPO法人penaの坂上彩理事長(左)と黒岩祐治知事=2024年10月31日、横浜市中区、井石栄司撮影

 「搾乳(さくにゅう)できます」。横浜市内の商業施設の授乳室にこんなシールが貼られた。

 実現に動いたのは、2500グラム未満で生まれた「低出生体重児」とその家族を支援するNPO法人。小さな赤ちゃんを育てる母の思いが込められている。

妊娠24週で緊急帝王切開に

 NPO法人pena(ペナ)理事長の坂上彩さんは2018年、妊婦健診で「羊水がない」と言われた。

 当時、妊娠24週。すぐに別の病院に搬送され、翌日、緊急帝王切開で出産した。赤ちゃんの体重は370グラムで、新生児集中治療室(NICU)に入院した。

 初めてわが子を抱くことができたのは、誕生から1カ月目。寝息を立てながら眠る470グラムのわが子を両手に乗せると、温かさと命の重みを感じた。

生後2週間の坂上彩さんの長女(手前)。父の手と比べると、小ささがわかる=2018年6月、坂上さん提供

 退院したのは誕生から4カ月後。2326グラムに成長していたが、まだ抱っこひもで抱くと顔が見えないほど小さかった。

 NICUに入院している赤ちゃんにとって、母乳は大切な栄養源だ。入院中は直接授乳できないので、搾乳して病院に届けなければならない。

トイレで搾乳したことも

 ただ、その頃の坂上さんは授…

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