「昔はギターがうまかったんだ」と紹介された青年の右手に、指はなかった。それでも、残った手で弦をかき鳴らし、彼は歌った。
持ってきたカメラのシャッターを切ることも、スマートフォンの動画を回すこともできなかった。横に座って、その歌声にただ耳を傾けた。
「どう接したらいいか、慣れていなくて。ちゃんと言葉掛けができればよかったんでしょうけど」
訪れたリハビリ施設で出会った青年は、ミャンマー国軍と戦う民主派武装勢力・国民防衛隊(PDF)の一員だったという。奥では、片足のない若者が手を振っていた。
目の前には、クーデターから間もなく4年が経とうとするミャンマーのいまがあった。
昨年11月、日本語教師の松…