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東京証券取引所=2024年3月4日、東京都中央区日本橋兜町、朝日新聞社ヘリから、小林正明撮影

 公正な運営を求められる証券市場への信頼が大きく揺らいでいる。東京証券取引所の社員がインサイダー取引に関与した疑いで強制調査を受けている問題は、公開前の情報を取り扱う部署で起きた。投資家を裏切る行為は、政府が進める「貯蓄から投資へ」の動きにも冷や水を浴びせかねない。

 「うわさには聞いていたが、まさか本当になるとは。申し訳ないとしか言いようがない」。疑惑が先週報道された直後、日本取引所グループ(JPX)の幹部は悔しさをにじませた。

 調査を受けている社員が在籍する「上場部開示業務室」には約50人が在籍。約300人の社員を抱える東証の中でも公開前の情報を扱うため、配属時には情報管理に関する研修を受けている。

 さらに親会社のJPXは、社…

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