大阪大学の松林哲也教授=2024年10月21日、大阪府豊中市の大阪大豊中キャンパス、近藤咲子撮影

 仕事や勉強で忙しくて投票に行くのはおっくうだし、自分の1票では何も変わらない――。でも、本当にそうだろうか? 投票行動を研究する大阪大学の松林哲也教授(政治学)に、投票する価値や投票先の選び方について聞いた。

 ――若い世代の投票率の低さが指摘されます。どのような理由があると考えられますか

 「戦後の民主主義が始まったころに育った今の高年齢層は政治を身近に感じ、投票を半ば『義務』と思う人も多い。一方、政治的・経済的に安定した時代に育った世代は、政治と自分の生活に距離感がある。選挙に行かなくても民主主義は揺らがないという安心感もあり、投票率に差が出るんだろうと考えられる」

 「年齢と共に投票率も上がる傾向がありますが、ペースは緩やかで、今の若者が年を取っても、今の高年齢層ほどの投票率にはならないと考えられます」

 「むしろ投票に行かない今の若い人が普通で、比較的投票率の高い60~70代が奇跡的に活発な世代だったのでは……という可能性もあります」

 松林教授は、投票する意義について「1回の結果だけでなく長い目で見て」と語ります。その理由や、松林教授が考える投票先選びのコツは記事後半で。

 「高齢者層と若い世代、どっちの投票行動が普通って言われると実は分からない。ただ、投票しないことで失うものはたくさんあります」

 ――どんなものを失うのでしょうか

 「例えば、若い世代が関心を…

共有
Exit mobile version