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「北方領土の日」の7日、根室市の市総合文化会館で住民大会が開かれた。元島民や自治体関係者、道選出の国会議員ら750人が参加し、北方領土問題の早期解決を訴えた。
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北方領土の日は、日本とロシアとの国境を択捉島とウルップ島の間に定めた「日露通好条約」が1855年2月7日に締結されたことに由来し、1981年に閣議了解された。住民大会は、根室市など1市4町で構成する「北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会」(北隣協)の主催で開かれた。
北方領土問題のアピールと返還運動の後継者育成を目的に、毎年2月7日に大会が開かれている。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに日ロ関係は悪化し、領土問題をめぐる状況は厳しさを増している。
主催者を代表してあいさつした西村穣・中標津町長は、「ビザなし交流事業が停止され、人道的見地から行われてきた北方墓参も見送りを余儀なくされるなど、極めて厳しい状況だ」と指摘。「事態の長期化とともに、北方領土問題が置き去りにされ、(国民の)関心が薄れることが懸念される」と訴えた。
北方四島(択捉、国後、色丹の3島と歯舞群島)には終戦時、1万7291人が暮らした。
千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)によると、その7割以上はすでに亡くなっており、元島民の人数は昨年末の時点で4987人。平均年齢は89歳を超す。
元島民で歯舞群島の多楽島出身の工藤繁志さん(85)=根室市=は「北方領土問題を解決し、平和条約を締結するという最終目的が実現するまで、何があろうと諦めるわけにはいかない」と決意を語った。
国後島の元島民4世で、根室高校3年の近藤妃香さんは、SNSを使った情報発信の取り組みなどを紹介し、「元島民の思いを後世に伝えるとともに、一人一人が領土問題についてさらに意識を高められるよう、全国の同世代に訴えなければならない。若者らしい独創性と想像力を生かして活動していく」と語った。
式典のしめくくりにはシュプレヒコールが行われ、参加者らは北方領土問題の解決を訴えてこぶしを突き上げた。