写真・図版
池田澄子さん=2023年、伊ケ崎忍撮影

うたをよむ 池田澄子

 歌壇俳壇面のコラム「うたをよむ」。今回は俳人の池田澄子さんが、師・三橋敏雄さんの句をひもとき、師が亡くなった12月1日に毎年思い出す光景を明かします。

 十二月一日は、二〇〇一年に逝った三橋敏雄の命日。八十一年と二十日程の生涯だった。私の師である。師事すると決めたのは一九七七年、今は無い雑誌「俳句研究」の「特集・三橋敏雄」による。その日から逝去のあの日まで、と思い、気付いた。一句書く度に先生はどう仰(おっしゃ)るかと考える今も、師事しているのだと。

 〈少年ありピカソの青のなかに病む〉は敏雄十代の作。「ピカソの絵のなか」ではなく「ピカソの青のなか」。「青の時代」とは、若き日のピカソが生と死、貧困などをテーマに、青を基調とした暗い色調の作品を発表した時代。

 〈秋色や母のみならず前を解…

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