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ニューヨークの国連本部で24日、演説するバイデン米大統領=ロイター

 米ニューヨークで24日、任期最後の国連総会演説に臨んだバイデン米大統領は、半世紀に及ぶ自身の政治生活を振り返りながら「状況は改善できる」と語った。各地で戦争が続き、憎悪と分断が広がる世界でも多国間協力と民主主義を信じ、持ち前の楽観主義を捨てないバイデン氏らしさが前面に出た。

 29歳で上院議員となった当時、冷戦下の世界で米国はベトナム戦争のただ中にあった。「我が国は分裂し、怒りに満ち、国力の維持に疑問が投げかけられていた」と振り返り、「それでも私は楽観主義から公職についた」。その後、ロシアとの軍備管理が進んで冷戦が終わり、ベトナムは友好国になった。これを「戦争の恐怖から抜け出して前に進む道があることの証明」だとし、最悪の事態も好転しうる実例に位置づけた。

 多国間協力へのこだわりについても力を込めて語った。大統領になった時に「未来に立ち向かうため同盟・友好関係をかつてないレベルに再構築する」と目標を定め、北大西洋条約機構(NATO)のような伝統的な同盟から、日米豪印(QUAD、クアッド)のような比較的新しい枠組みまで、「まさにその通り実行した」と述べた。

 ウクライナやパレスチナ自治…

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