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AI規制法案を作成したカリフォルニア州議会のスコット・ウィーナー上院議員=ニューヨーク・タイムズ

A California Bill to Regulate A.I. Causes Alarm in Silicon Valley

 米カリフォルニア州議会で、AI(人工知能)規制法案を巡って、テック企業や投資家、活動家らが奔走している。彼らは、前例のない規制が導入されれば、同州のAI業界にとってどんな影響がありうるのかを訴えている。

 この法案は州都サクラメントでまだ、手続きが残っている。8月15日に州議会の歳出委員会で採決された後、本会議で採決される予定だ(訳注:この記事が出た後の15日に法案は同委員会で可決された)。

 ニューサム州知事の署名を経て施行されれば、同法は、テック企業に対して、高度なAI技術を一般公開する前に、その安全性を確認するためのテストの実施を義務づける。さらに、同州司法長官は、こうした技術が大規模な物的損害や人的被害など深刻な被害をもたらした場合には、それを提供した企業を提訴できるようになる。

 「SB1047」と呼ばれる同法案をめぐる論争は、これまでAIに対する世論の関心を大きく高めてきた議論を反映している。反対派は、同規制は労働者の生産性向上や医療の進歩、気候変動対策への貢献が期待される技術の進歩を阻害すると主張する。

 賛成派は、同法は大きな被害の防止に役立ち、利益追求に偏りがちな企業活動に制約を加えると考えている。多くのAI専門家やIT企業幹部らが、AIのリスクをめぐる社会での議論を主導し、首都ワシントンでは米議員らに対して、規制の導入に動いて欲しいとまで訴えたのは昨年のことだ。

 ところが今や、IT業界は態度を一変させ、かつて自分たちが主張していたことを実現しようとしているカリフォルニア州の取り組みに反発している。グーグルやメタ(旧フェイスブック)、アンソロピック、オープンAIなどの主要AI企業の多くは、同州に拠点を置くか、同州でビジネスを展開しているため、同法の規制を受けることになる。この規制は他州や米連邦政府、さらには他国政府にとっても先例となる可能性がある。

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