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クライアントパートナーズのスタッフと話す男性(右)=2024年11月14日午前10時36分、東京都国分寺市、小林正明撮影
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 蛇口の閉め忘れが増えたのが始まりだった。

 70歳過ぎまで商店を営み、しっかり者だった母(96)に違和感を抱いたのは10年近く前。埼玉県所沢市の男性(69)は築70年ほどの住宅に母と2人で暮らし、介護を続ける。

 母のアルツハイマー型認知症は徐々に進行した。家にいる間は、外に出て行くこともあり目が離せない。就寝中は2~3時間に1回、オムツを替える。目の前に息子がいても、「どこ行った?」と探す姿はやりきれなかった。それでも決めている。「迷惑をかけてきた。みとるまで面倒を見よう」

 だけど、このままだとパンクすると思う夜もある。ささいな出来事、ちょっとした悩み。受け止めてくれた母はもういない。話を聞いてくれる「誰か」が必要だった。

 そんな時、テレビ番組で見た「便利屋」をふと思い出し、電話をかけた。「話し相手になってもらえないか」

 連絡したのは「クライアントパートナーズ」。女性スタッフだけで運営し、20~90代の約400人が登録する。

 未婚の男性には「女性と話をしたい」という気持ちもあった。ただ、恋愛は煩わしい。趣味を通してSNSでつながる「友達」もいるが、介護のことまで話せる仲じゃない。話をしたいときだけお願いできる存在が欲しかった。

 母がデイサービスに行く平日の昼間に2~3時間、駅の近くのカフェで話をした。1時間5千円ほど。「安心は金額以上だった」

 以来、月2回利用する。趣味の昭和歌謡から介護の話にわたり、心ゆくまで聞いてもらう。

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