障害者グループホーム(GH)での組織的な不正が確認された運営会社「恵」に、事業者指定取り消しという最も重い処分が科せられる見通しとなった。新規参入が著しい業界への警鐘となるか。ただ、置き去りにされがちな利用者は、事業者側にすがるしかない実態もある。
- 「恵」の事業者指定取り消しへ 全国の100グループホームに影響か
「重度なのでグループホームに入れないと思っていた。最初は受け入れてくれて感謝していた」
愛知県春日井市の50代女性は、重度の知的障害と自閉症を抱える双子の20代の息子がいる。音に敏感で、自分や周囲を傷つけたり物を壊したりすることも頻繁。支援の難しさから受けられる福祉サービスも限られていた。
羽交い締めにされる兄…「退居」頭よぎったけれど
そんな2人を受け入れてくれたのが、恵のGHだった。「私が死んだ後も、それぞれが人生を楽しめる居場所を見つけられれば」
ところが、2019年の入居当初から違和感はあった。週末に迎えに行くと、ひげは伸び、衣服は乱れ、歯には歯石がべったり。GH側に伝えると、幹部が自ら謝罪に現れた。腰を曲げ、大きな声で「お母さん、すみませんでした!」。Tシャツに真っ黒に日焼けした肌をのぞかせ、白い歯が光っていた。真摯(しんし)な態度に安心感も覚えた。
しかし、21年夏ごろ、兄の…